「Nexus展」神山財団芸術支援プログラム奨学生12期生有志展

2026.07.01-07.05|「Nexus展」神山財団芸術支援プログラム奨学生12期生有志展

神山財団芸術支援プログラムの奨学生12期生有志5名による「Nexus展」は、次世代を担う若き熱量が満ちている。
会場を見渡すと、その瑞々しくも圧倒的な表現の多様性に目を見張る。
光を吸い込むような黒い柱に掛けられた般若の凄み、日常のささやかな体温を伝える子供たちの連作、葛布や草絵具といった伝統的な素材によって編まれたタペストリー、そして紫の闇の中に浮かぶ常人ならざるモノの像。
緻密に重ねられた油彩のマチエールから軽やかなストローク、グラフィック的なアプローチまで、5人の作家がそれぞれに突き詰めた独自性が白壁の上で鮮やかに交錯している。
これらの強固なオリジナリティの背景には、財団の支援によって自らの研究テーマと純粋に対峙できた贅沢な時間があるのだろう。
タイトルの「Nexus(結びつき)」が示す通り、本展は単なる個の発表の場に留まらない。
社会の喧騒から一歩引き、自身の内面や「芸術が持つ癒し」というテーマを深く咀嚼した者同士が、この特別な空間で共鳴し合っている。
互いの個性が衝突して結びつくことで、空間全体に新たな調和とエネルギーが生み出されている。
美術の未来を切り拓くアーティストたちの「今しか見られない確かな現在地」を、ぜひ会場で五感を使って体感してほしい。

作品展について

本展は、同世代の作家同士が制作や価値観を共有する中で、互いの作品への関心が高まり、その延長線上に自然発生的に生まれたグループ展である。
グループ名「Nexus」は、結び目や結節点、複数の要素が交差する地点を意味する。
神山財団の支援を受ける若手作家が、それぞれ固有の制作テーマを持ち寄り、個と個が交差する場として本展を構成する。
異なる問題意識や方法論が一つの空間に並置されることで、作品同士の間に新たな関係性が立ち上がる。
そこに生まれる緊張や共鳴は、現代に生きる若い世代の価値観や感覚の現在地を映し出すだろう。
本展は、完成された統一像を示すものではなく、多様な視点が接続される過程そのものを提示する試みである。

2026年7月1日(水)〜7月5日(日)10:30-17:00
入場無料

神山財団 芸術支援プログラムについて

文化の向上・芸術の振興に貢献し、芸術が本来持つ「癒し」を追求する人材の育成を目的とし、次世代の才能溢れる芸術学徒を支援する活動を行っている。
設立の背景には、ある音楽から安らぎや元気といった「癒し」を強く実感したという財団代表自身の体験があり、明るい未来を築く人材の発掘と支援を目的とした次世代アーティスト育成事業の一環として、財団では毎年奨学生を募集している。
主な対象は、全国の美術系大学院に在籍し、絵画の制作を専攻する大学院生。
将来的に日本の文化・芸術の振興に貢献する志を持つ人材であれば、国籍は問われない。
また、他の奨学金との併給(重複受給)も可能であり、支給された資金は勉学に関わる内容であれば使用用途に制限は設けられていない。
これにより、学生がアルバイト等に追われることなく、じっくりと自身の研究テーマや制作活動に向き合える環境を整えている。

https://www.kamiyama-f.jp/art

作家プロフィール

山岸月菜

家族や身近な人との記憶を起点に、人と人との関係性や時間の積み重ねを絵画として表現しています。

Instagram
https://www.instagram.com/rux.__.xna/

夏鈴

二つの感情、物事の境界の揺らぎを、気配や人物を通して、日本画材で描く。表現の原点は子どもの頃感じた不安や想像、無邪気な冒険心であり、それらを経て人の中に相反する二つの心情・状況の狭間を描くことをオカルト的視点で模索している。上記で提示したテーマは全体を見て探った共通点であり、何をどのような構図で描くかはその時想い浮かんだ情景や人物の心情次第である。絵画はそれぞれのストーリーテラーとして役割を担っている。現在は京都を中心として活動中。その他東京、大阪、名古屋でも展示している。

Instagram
https://www.instagram.com/sato.kari0/

吉田華

ネガティブな感情をユーモラスな表現を用いて絵画作品へと昇華することをテーマに制作している。シミュレーショニズムの手法を参照しながら作品を展開しており、既存のイメージや構造を引き出し、再構成することで、イメージの背後にある制度や欲望を可視化しようと試みている。現在は金沢を拠点に活動を行う。

Instagram
https://www.instagram.com/yoshida_h__/

辻純

植物から顔料を作り、創作活動に活用する試みを通して、環境に優しく持続可能性のあるアートを研究している。創作は絵画にとどまらず、不要になった新聞紙を再利用して立体作品を作ったり、草木染めした廃材で唯一無二な色合いの額縁を制作する。近年は北海道でのワークショップを皮切りに大勢と創作する楽しさを分かち合う活動を始めている。

Instagram
https://www.instagram.com/100tsujijun/

中村煎

表現の原点は「三つ子」として生まれた自身の環境にあり、幼少期から身近に並ぶ「同じでありながら違う存在」を通して、自他の境界線が曖昧になる感覚や、存在が環境へと溶け込んでいく状態に関心を抱いてきた。この地続きにある知覚を出発点に、写真と版画(シルクスクリーン/リソグラフ)を軸として「私たちはどのように存在を知覚しているのか」を問う試みである。客観的な記録である写真の像を版へと置き換え、刷りの反復や和紙の透過による層の重なり(レイヤー構造)を用いることで、固定化されたモノの輪郭を解体する。そうしてイメージが揺らぎながら立ち上がる状態を可視化することにより、外側から与えられた自己像と内側の感触との関係性を再構成し、流動的で不確かな存在のあり方を画面に定着させている。

Instagram
https://www.instagram.com/nakamura.sen/

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