岸本和之 日本画 個展「眺める」

2026.02.24-03.01|岸本和之 日本画 個展「眺める」

一人の若き表現者が、ただひたすらに「亀」という生命と対峙し続けた軌跡。
岸本和之による本展「眺める」では、愛着の対象を「写実」の領域から「純粋な造形」へと昇華させていく、スリリングな変遷が鮮明に映し出されている。
まず注目するべきは、モチーフに対するアプローチの圧倒的な多様性である。
深紅の背景に鎮座する亀の作品では、甲羅の重厚な重なりや皮膚の乾いた質感が、伝統的な日本画の技法を思わせる確かな筆致で描かれている。
その一方で、大胆なストロークと鮮やかな色彩が躍る大画面では、亀のフォルムはもはや記号化され、色彩と構成の遊びへと解体されている。
会場に置かれた制作ノートやスケッチブックを紐解けば、そこに刻まれた無数のアイデアや描線から、彼がいかに執拗に、かつ新鮮な驚きを持って亀を観察し続けてきたかが伝わってくる。
岸本は、自らの制作を「いまだに言語化できていない部分を持ちながら続けている」と語る。
しかし、この「言葉にならない衝動」こそが、彼の作品に尽きせぬ魅力を与えている。
ディティールへの執着と、動きの抽象化。
その二極の間で揺れ動き、あえて一つの様式に安住しない姿勢は、表現の可能性を信じる若き作家の誠実さの表れであると感じられる。
岩絵具の粒子が光を含み、ある時は硬質な殻を、ある時は流動する生命の律動を形作る。
その一つひとつの実験が、作家自身のフィルターを通じることで、唯一無二の「亀」のポートレートとして結実している。
変化を恐れず、常に自らの視点を更新し続けること。
本展に並ぶ作品群を順に追っていくことは、作家の視座がどのように深化し、拡張していったかを「眺める」という行為に他ならない。
完成された予定調和を拒み、混沌とした制作の只中で格闘する岸本の「今」は、鑑賞者の視覚を心地よく刺激し、絵画表現の根源的な喜びを再認識させてくれるに違いない。

作品展について

2026年2月24日(火)〜3月1日(日)10:30-17:00
入場無料

亀が好き。
だから描いてました。
亀の生態、甲羅、皮膚、顔、手足、全てにおいて魅力的な部分があります。
今まではリアル志向で亀をそのまま画面に表していましたが、最近は、色遊びや構成に焦点を当てて制作をしています。
色々なアプローチを試みる中で、自分は亀の何を表現したいのかが分からなくなってきた時もありました。
細かなディティールを表したいのか、動きを表したいのか、制作を重ねていく中で更に分からなくなってきました。
いまだに言語化できていない部分を持ちながら制作を続けています。
その為、統一された画風ではありません。
その時、その時の自分がやりたいと思った事がそれぞれの作品に出てきています。
今回の個展では、その変遷を眺めて頂ければと思います。

作家プロフィール

岸本和之

経歴
2003年 大阪府生まれ
2022年 兵庫県立伊丹北高等学校 卒業
2022年 京都市立芸術大学美術学部 入学
2026年 京都市立芸術大学美術学部 在籍中

来歴
2022年 なんちゃって京芸入試展(京都市立芸術大学)
2023年 2022年度 京都市立芸術大学作品展(京都市立芸術大学)
2024年 2023年度 京都市立芸術大学作品展(京都市立芸術大学)
2024年 第2回 書道部展(京都市立芸術大学)
2025年 第33回 川西市展 一席(キセラ川西プラザ)
2025年 2024年度 京都市立芸術大学作品展(京都市立芸術大学)
2025年 第15回 贈り物展(ギャラリー恵風)
2025年 第43回 上野の森美術館大賞展 入選(上野の森美術館)
2025年 日本画ゼミ3前期展(京都市立芸術大学)
2025年 第3回 書道部展(京都市立芸術大学)
2026年 2025年度 京都市立芸術大学作品展 奨励賞(京都市立芸術大学)
2026年 岸本和之 日本画 個展「眺める」(アートギャラリー百継)

Instagram
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