きのこまつむり個展「踏み出した足を、そっと置く」

2025.02.04-02.16｜きのこまつむり個展「踏み出した足を、そっと置く」

おとぎ話の世界から抜け出してきたような、ユーモアと温もりが共存する、どこか懐かしい世界。
きのこまつむりによるこれらの作品は、紙版画の素朴な風合いを活かしながら、独特のキャラクターたちが生き生きと舞台を演じるように描かれている。
ストライプやチェックの衣装、幾何学的な模様、くるんとした髭や丸い目──それらがリズミカルに配置され、見る者の視線を愉快に導いていく。
鑑賞者の目を引く鮮やかな色調が、版画ならではのざらりとした質感とあいまって、懐かしい絵本のページをめくるような感覚を呼び起こす。
人物や動物たちはどこか滑稽で愛らしく、同時に人間らしいあたたかさを宿しているきのこまつむりの作品は、日常の片隅に潜むファンタジーを、軽やかに、そして優しく掬い上げる詩のような版画世界である。