Kenmeism Exhibition「Honesty」

2025.07.08-07.20｜Kenmeism Exhibition「Honesty」

壁一面にきらめくビビッドな色、そして線の広がり。
Kenmeismの個展「Honesty」は、画家として、そしてかつて教育者であった作家の個性が漂う空間である。
作品は、自らの描画やパブリックドメインの図像を切り貼りし、レジンで封じ込める独自の技法によって生み出されている。
層をなす色彩の奥から細密な線描が浮かび上がり、まるで記憶や時間が半透明の膜を通して立ち上がるようである。
赤や青、緑といった鮮烈な色面の中に潜むのは、無数の物語の断片。
古典的な図像と現代的な意匠が混ざり合い、新旧・内外・現実と空想の境界を軽やかに横断している。
タイトルの「Honesty＝誠実」は、単なる装飾ではなく、人知れず苦悩を抱えながらも前を見つめ続ける姿勢そのものを意味しているのかもしれない。
封じられた線と色が静かに共鳴するKenmeismの作品は、真摯にアートと向き合うことの困難さと美しさを、樹脂の透明な層の奥にそっと灯している。