戸髙海 書作品展 vol.1「暁発」

2025.03.18-03.23|戸髙海 書作品展 vol.1「暁発」

墨の呼吸がゆっくりと満ちていくような、静謐な空間づくり。
戸髙海による本展「暁発」は、大学生活を通しての探求と、その果てに見出した書の現在地を示すものである。
会場には約二十点の大作が並び、王鐸や黄庭堅の古典に通じる力強い筆致から、柔らかく滲む線の余韻まで、多様な表情が呼応し合っている。
金地の屏風に舞う墨跡は、時間を超えて響く普遍的な声を捉え、淡彩の掛軸には、日々悩み、想いに耽った作者の内面の静けさが宿っているようである。
「古典と現代をつなぐ」という理念のもと、伝統的書法に自らの感覚を重ね合わせて書と向き合う戸髙海。
迷い、確信、緊張、解放が筆を走らせるたびに交錯し、その痕跡が生々しく紙面に刻まれている。
過ぎた時間を糧にしながら、未来へと筆を進める。
この展覧会は、ひとりの若き書家が「出発点」として立ち上がる瞬間を、静かに見せてくれるものである。

作品展について

2025年3月18日(火)〜3月23日(日)10:30-17:00

書を好きになってから、書は生活の一部となり、過ぎた時間の足取りが作品となっていきました。
書の方向性や書との関わり方に大きく悩み、模索した期間。
その過程で生まれた、思索のありのままを写し取った作品群です。
この個展では大学生期間のまとめとして、新作も数点加えた約20点の書作品を展示いたします。
そして今回の個展を、これから書を志す新たな出発点にしたいと考えています。
ぜひお気軽にお立ち寄りいただけましたら幸いです。

作家プロフィール

戸髙海

2001年、宮崎県に生まれる。現在、京都大学農学部在学中。

1:書作品において、まだ開拓されていない新たな書表現を探求する。
2:先人の書と現代の鑑賞者をつなぐ。

この2つをテーマに作品制作を行っています。
書の世界で古典となっている王鐸と黄庭堅の書。
その書から受け取った感動が、私の書道鑑賞の原体験です。
その後、様々な先人の書、現代の書に触れる中で、その感動を現代的な書作品として表現することが私の課題となりました。
古典や先人の書をもとに、現代に生きる私自身の感覚を組み合わせて、古典と現代を行き来するような作品を模索しています。
この試みを通じて、新たな書表現を提示すると同時に、作品を介して鑑賞者と先人の書をつなぐことができるのではないかと考えています。

ウェブサイト・SNS

Instagram
https://www.instagram.com/umi_shodo/

TOP